Title 「誕生日のドタバタ」  
Name ひゃつる
   
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 部隊長室にノックの音が響く
 「はーい」
 声に応じて部屋に入って来たのはなのはとフェイトだった。
 二人とも手を後ろにニコニコしている。
 「なんや?どうしたん?」
 はやては用件はもうわかっているようで微笑みながら二人に聞く。
 ふたりは一斉に手に持った者を前に出すと言った。
 「お誕生日おめでとう!はやてちゃん!」 
 「おめでとう。はやて」
 二人の手にはプレゼントの入った箱が握られていた。鮮やかな包装紙にくるまれたそれは可愛いリボンで封をしてある。
 そう。地球の暦で6月4日は八神はやての誕生日。彼女が魔法使いとして覚醒した日でもあった。この日に思い入れは強く、ヴォルケンリッターの仲間達にとっても最高の主に出会えた日だ。
 この日に彼女の誕生日を祝ってくれる人は多く、部屋にはプレゼントが積んであった。
 「ありがとうなぁ。毎年毎年こんなに祝ってもらって本ト幸せモンや。私は」
 なのはに微笑みかけプレゼントを受け取る。
 「幸せ者のはやてちゃんに毎年誕生日を祝われてる私はもっと幸せ者だよ」
 なのははウインクをつけてそう返す。
 次にフェイトが少し大きめの包みをはやてに渡す。
 「私たちが会ったときから結構立ったけどこれからもよろしくね。はやて」
 「うん。ありがとう」
 フェイトのやわらかな微笑みにはやては笑顔で返す。自分の命はこの命を救ってもらった人たちのために使うと決めたのにまだまだ皆には助けてもらいっぱなしだ。なのにこんなにも周囲から愛されて本当にこんなに幸せ者でいいのかと思ってしまう。
 小学校を休学していたときは自分の誕生日を祝ってくれる人はおらず誕生日なのには気がついてはいたが、自分でも祝わなかった時が何回かあった。その時は寂しくてもどうしようもなかった。友達は愚か、家族も家にいなかったからだ。はやては小さい頃から一人で生活してきた。よく心配してくれる病院の先生も何かと気に懸けてくれてはいたがどうしても一人の時間が増えてしまう。
 それがいまではこの有様だ。この皆の愛情があの頃とは違うのだと実感させてくれる。
 「なのはちゃん。フェイトちゃん。プレゼント開けてもいーい?」
 「うんうん。開けて」
 「ふふっ」
 なのははプレゼントを開けるはやてを見る。早く感想が聞きたくてうずうずしているようだ。
 はやてはそれに答えるようにプレゼントの包みを解きほぐすように開けた。
 中から箱が出てきてそれを開けると中にはオルゴールが入っていた。
 「うっわぁ!かわええなぁ!ならしてみるよ?」
 「うん!」
 オルゴールをならすとそのメロディは優雅な旋律を奏でた。その雰囲気はどことなく悲しげで、聞いたことがある様な曲だった。
 「なんか心にジーンと響くなぁ。大事にするよ。ありがとうなのはちゃん」
 「喜んで貰えてよかった」
 そのことをずっと心配してたようだ。なのはは胸を撫で下ろす。
 次にフェイトの包みを開ける。
 中には目覚まし時計が入っていた。その目覚まし時計は鮮やかな赤色で、目覚ましの上部に鐘がついていて時間になるとじりりとなるタイプだった。
 「わ!最近朝眠くてなぁ。リインに起こしてもらってばっかなんや。ちょうど欲しかったところやで。ありがとう。フェイトちゃん」
 「えへへ。喜んでもらえてよかった」
 「そや。今日ケーキももらったから一緒に食べへん?このあと時間あるならやけど」
 「うん大丈夫だよ。でも・・・」
 「うん?どしたん」
 フェイトがおずおずと切り出した。
 「私たちもはやてちゃんにケーキ焼いたんだ」
 「え!そうやったんか。ありがとう。ほな、一緒食べよ?」
 なのはもばつが悪そうに言う。
 「うん。ごめんね、みんなとかぶっちゃって」
 「ええよええよ〜。なのはちゃんとフェイトちゃんの作ってくれたケーキはそれしかないんやし」
 はやての言葉にふたりは顔を見合わせて微笑んだ。
 ケーキの箱を机の上に置きふたに手をかけた、その時。
 呼び出し音がなる。音ははやての通信デバイスからだった。
 はやてはなのはとフェイトに少し待って、と合図すると通信相手と話し始めた。内容は何かしらの事件のようだったが、そこまで深刻でもなさそうだ。
 何事だろうと二人ははやての会話に耳を傾けていたがしばらくすると通話は終了しはやては少し忙しそうに身支度を始める。
 「なにかあったの?はやてちゃん」
 心配そうに聞くなのはにはやては上着の制服を着ながら答える。
 「たいしたことあらへん。ただ局内の人間がちょっとした騒ぎ起こしたらしくてな。私がでてくのもよくわからんのやけど要請があったからにはしょうがない。ちょっと行ってくるけど二人とも時間大丈夫?長くかかる様だったらまた後日でもええけど」
 「ううん。大丈夫だよ。今日ははやてちゃんが主役だもの。はやてちゃんがいないとケーキの意味ないしね」
 「うん。待ってるよ。ああ、ここで待っててもいいかな?」
 ソファを指してフェイトが言う。
 「ふたりともありがとう。よっしゃ早く片付けてくるからうちの部屋でくつろいで待っててな!プレゼント見ててもええよ。じゃあ行ってくるわ」
 「うん。気をつけて」
 「待ってるよ」
 はやてが部屋から出て行く。ぱたんと閉まった扉の音の後には無音の部屋が広がる。
 「お仕事早く終わるといいね」
 「うん」
 フェイトが立ち上がりプレゼントの山を眺める。
 「これすごい量だね」
 「誰からなんだろう」
 山はすべて包み紙ははがされておりプレゼントと包み紙で分けられていた。
 その中の大きな箱を開けてみる。
 中からは大きなうさぎのぬいぐるみがでてきた。
 「これって・・・ねえなのは?これ誰からだと思う?」
 なのははソファに座ったまま人形を見る。
 「それってヴィータちゃんのもってるお人形さんの大きいの?」
 「そうみたいだね。じゃあこれはヴィータからなのかな?」
 「そうじゃないかな。あはは・・・ヴィータちゃんらしいや」
 「そうだね」
 その人形をしまうと次ぎには小さな箱を開けてみる。
中にはブローチが入っていた。
 「これは?」
 「綺麗なブローチだね。誰からなのかな?」
 なのはは箱に何か書かれてないか見てみる。
 「あ。これアリサちゃんからだ」
 「へぇ。そういえばアリサと最近話してないなぁ。また空いた日に遊びにいきたいね」
 「うん。あれ。てことは・・・」
 横にあるきらびやかな箱を開けてみる。アリサの箱と色違いだった。
 中には綺麗なネグリジェが入っていた。
 「これは・・・すずかちゃん?」
 「そ・・・そうみたいだね」
 なんともすずからしいと思いつつそれをしまう。
 「あれはやて着るのかなぁ?」
 「・・・そうじゃない?でもYシャツ一枚よりはいいんじゃないかな」
 「それは疲れてそのまま眠っちゃったときでしょ?いっつもあの格好じゃないよ。きっと・・・」
 「フェイトちゃんはいつもネグリジェだもんね」
 「ちょっとなのは!そんなこと大声で言わないでよ!」
 「ごめんごめん。だけどここ私たち以外誰もいないよ?」
 「そうだけど・・・」
 なのははくすっと笑うとフェイトに抱きついた。
 「フェイトちゃんかーわいいっ!」
 「ちょ!ちょっとなのは〜」
 「あははは」
 ふたりでじゃれあってていると上からプレゼントの山が降ってきた。
 プレゼントの箱は軽い音を立てて崩れ落ちる。
 「わあっ!?」
 「きゃっ!」
 がらがらと崩れた箱をそおっと掻き分けてふたりがでてくる。
 「あわわ・・・はやてのプレゼントが!」
 「ごめん。わたしがはしゃいだから・・・」
 しかたなく箱を片付ける。見たところどれにも損傷はないがはやてには悪いことをした。
 反省しながら二人で片付けていると勢い良く扉をあけてはやてが入ってきた。
 「わっ!はやてちゃん!ごめんっ!!」
 なのはが驚いた拍子に謝ったがはやては聞こえなかったようで机に向かうと何かを探し始めた。
 「はやて・・・?」
 そこで初めてはやては気づいたようで二人を見る。
 「あ。いてくれたんね。ありがとな。って結構散らかしとるなぁ。けどそんなやんちゃななのはちゃんも好きやで」
 ウインクをするはやて。
 なのはとフェイトはぽかんとはやてを見つめる。
 「ん?あ。そのネグリジェはね、すずかちゃんからのプレゼントなんよ。かわいいやろ。今日からそれ来て寝んねん。それとそのブローチはアリサちゃんから。そのウサギのぬいぐるみはヴィータで、そっちのメイド服がシャマル。で、お茶漬けセットがシグナムや。他にもなぁ・・・って今そんなことはなしてる暇やなかった」
 はやては机の上にある書類を掴むとすぐに部屋から出て行く。
 「ほなもう少し待っててやー」
 少し顔をドアの隙間から出して言うとはやては去っていった。
 風のように去っていったはやては唖然とするふたりを再び部屋に残していった。
 「はやてちゃん忙しそうだね」
 「そうだね・・・」
 二人は箱を片付ける。
 その最中、また箱の中身を開けてみた。
 「なのは。これなんだろう?」
 なのは、フェイトの方を向く。
 フェイトが掴んでいたものは驚くべきことに地球の土偶だった。
 「それって・・・土偶?」
 「どぐう?聞いたことないな。置物?」
 あはは、と笑いながらなのはは説明する。
 「土偶は私の世界で大昔に作られた人形みたいなものだよ」
 最近はないのだが、フェイトは小学校の頃は知らないことが多かった。だからなのははその都度フェイトにいろいろと教えてあげ、フェイトはそれを楽しそうに聞いた。それでも未だに知らない単語はいくつかあるらしく、時たま聞いてくるのだ。
 「ふぅん。でも誰からかな」
 「え?あ!ああ・・・」
 「ん?何か知ってるの?」
 なのはがすこし目をそらす。
 「う、うん」
 「?」
 「実はユーノ君がはやてちゃんに何をあげたらいいか悩んでたみたいだから好きそうな物をあげればいいんだよって言ったんだけど・・・」
 「なるほど・・・。ユーノのセンスか・・・」
 「けどそれ勝手に持ってきちゃっていいのかな?あ、これレプリカだ」
 フェイトはその土人形をそっとしまう。
 「けどユーノ君も一生懸命どの土偶にしようか悩んだと思うよ」
 「土偶しか候補ないんだ・・・」
 気を取り直して他の箱を開けてみる。
 「これは・・・」
 「わぁ!かわいい」
 手編みの手袋が一つ袋に入っている。所々間違っているがつける分には問題なさそうだった。
 「これは誰がつくったのかな?」
 「リインが作ってるの私見たよ」
 答えるフェイト。
 「あの身体でこんなに大きいもの編むなんてすごいね」
 「いや、大きいモードになって編んでたんだけどね」
 「あ、そうなんだ・・・そうだよね。あのままだと効率悪いもんね。えへへ」
 「でもこれから暑くなるのに毛糸の手袋って・・・?」
 「リイン冬から作ってたから出来上がる季節には夏だって忘れてたんじゃない?」
 「そうかも」
 「リインらしいね」
 「ふふっ」
 そっと戻すと他の箱を開ける。
 中からは大きなハムの固まりが入っている。よく見ると保冷剤が入っていて箱自体が少し冷たい。
 「わ」
 「なにこれ・・・」
 「誰だと思う?フェイトちゃん」
 「え・・・それは・・・」
 「じゃあ一緒に言おうよ」
 「いいよ」
 少し声が上擦る。
 「せーのっ」
 「「アルフ! スバル!」」
 「え?」
 「あれ?」
 「私はてっきりこんなの送るのはアルフかなって・・・」
 「わたしは食いしん坊さんのスバルが送ってはやてちゃんと一緒に食べようと思ってるんじゃないかなって・・・」
 「う〜ん」
 「とりあえず保留で」
 「そうしよう」
 二人は次の箱に取りかかった。どっちにしろ二人のどちらかのプレゼントが見つかりさえすればあの肉片の送り主が誰かは判明するだろう。
 次の箱には大きなテディベアが入っていた。
 「これは・・・誰だと思う?」
 「キャロとか?」
 「いや、キャロは・・・」
 フェイトが箱をぱこぱこあけていく。
 そしていくつか開けた後に
 「これだった」
 中にはひもを編んで作ったブレスレッドの様な物が入っている。
 「これ自分で編んだの?」
 「そうみたいだよ」
 「すごいね。私もこれ欲しいな」
 「ルシエの一族に伝わる伝統的な物らしいよ。・・・たしか」
 「へぇ。いいなぁ」
 そこで気づく。 
 「あれ?じゃあこのテディベアは?」
 ドアからシグナムが入ってくる。
 「おや。高町とテスタロッサじゃないか。ん?主はやての部屋でなにを?」
 「ああ。シグナム。はやてと一緒にケーキを食べようと思ってたんだけど今用事があるんだって。すぐ済むらしいんだけど」
 「ふむ、なるほど。どれ」
 シグナムがケーキをのぞく。
 「ほう。うまそうじゃないか。これは高町が焼いたのか?」
 「そうですよ。うちの翠屋特製極上ショートケーキですよ。一緒に食べませんか?」
 「いいのか?ではお言葉に甘えて私も主を待つとしよう」
 シグナムがソファに座る。
 「ん?」
 なのはが手に持っている物を見る。
 「それは・・・なんだ?」
 「テディベアですよ?はやてちゃん宛のプレゼントです」
 「そうか。そういえばティアナがそれをプレゼントすると言っていたな」
 「それだ。じゃあそれはティアナのだね」
 「うん」
 シグナムが怪訝そうな顔で聞く。
 「ん?なんだ?何をやっている?」
 「はやてちゃんがプレゼントを見ていいって聞いたのでプレゼントが誰宛かを当ててたんですよ」
 「ほう」
 「それでシグナムは・・・なんだっけ?」
 「いやちょっとまて」
 なのはが声を上げる
 「そうだ!お茶漬けセットだよ!」
 シグナムが声にならない悲鳴を上げる。
 「いやその」
 「シグナムったら渋いね」
 「まぁ・・・あれだ。主におすすめの茶漬けがあってだな」
 「別に攻めてる訳じゃ」
 シグナムは視線を泳がせながら少し頬が赤くなっている。無言だ。
 「あはは。別にいいと思うけどなぁ」
 「うんうん」
 シグナムはもう話さないでくれと言わんばかりに急に話題を変えた。
 「ところで他の箱は開けないのか?」
 「あけますよ。じゃあこれっ」
 中身は箱が入っていた。
 「箱?」
 箱を開けてみるとまた箱が。それを開けてまた開けて。
 最後には小さな箱が出てきた。
 「これが最後だよね!?」
 息を切らしたフェイトがなのはに言う。
 箱の形が他の箱とは違うし、これ以上開ける余地はなさそうだった。
 箱を開けると中からは指輪が出てきた。 
 「これは!?」
 「サファイア?かな」 
 「サファイアって高い宝石だよね」
 「誰からの贈り物かな?」
 そこでシグナムが声を上げる。
 「まさか、男か」
 「え?男?」
 「シグナムそれどういうこと?」
 「いや、そういうものを送るのは決まって男だろう。主はやてに恋人が出来たのかと思ってな」
 「はやてちゃんに!?」
 「そんなまさか!?」 
 二人の反応にシグナムは眉をひそめる。
 「どういう意味だそれは。我が主が恋人を作るのがそんなに驚きか」
 「シグナムさん、そんなつもりじゃないですよ!」
 「そうだよ。それにシグナムもそんなことになったら困るでしょ」
 「我が主をたぶらかす下郎にはレヴァンティンの錆になってもらうしかあるまい」
 「斬っちゃだめ!」
 「そうですよ。はやてちゃんだって恋人の一人や二人」
 「我が主はそんなひとでなしではない!」
 「ちょっとシグナム落ち着いて!」
 うなりを上げるシグナムをどうどうと落ち着かせるフェイト達。
 「とにかくはやてに彼氏がいるのか、それとその送り主が誰なのか突き止めないと・・・」
 「と・・・?」
 「シグナムがその男を見つけ出してヴィータと一緒にどんなことするかわからないから・・・」
 「そういえばそうだね・・・」
 「はやてにそう言う話が微塵も起こらないのは二人の存在が大きく関わってるからだと思うよ」 
 「我が主に恋人が出来ないのは我々のせいだと?そうだとしたら本望だ。それにこれくらいの壁を破る覚悟でないと主はやての恋人なぞ許す訳もなかろう」 
 ものすごく強情な侍を横目に二人ははやての恋路も前途多難だと思った。
 「でも誰なのかな。はやての一番近い存在の男性って」
 「ヴェロッサさんかグリフィス君だよね」
 「よし。やつらのどらかだな。行ってくる」
 すっくと立ち上がるしグナムをフェイトが全力で押さえる。
 「ちょっとちょっと!!勝手に斬りにいかないでよ!!違ったらどうするの!」
 「いずれそうなる可能性があるのならばその芽を摘んでおくことも必要だ。問題ない」
 「問題大有りですよ!!」
 しょうがないのでシグナムは椅子に縛り付けることにした。手頃な椅子がなかったので部隊長の座っている椅子を拝借した。
 「でもグリフィス君ははやてちゃんのこと尊敬はしてるけど恋してるって訳じゃいと思わない?」
 「たしかに。そんなそぶりも見ないしね。それだったら幼馴染のシャーリーの方が可能性ありそう」
 「ヴェロッサさんは?」
 「あの人ははやてのことを妹みたいだって言ってたよね」 
 「うん。でも、妹を好きになっちゃうってこともあるかもよ」 
 「妹を・・・」
 「あ、クロノく・・・ごめんフェイトちゃん」
 「え!?いやいやいやいや関係ないからね?」 
 「え?そう?」
 「うん」
 「でもクロノ君とエイミィさんの結婚式でフェイトちゃん泣いてたじゃない」
 「それは兄妹だからだよ!!」
 「兄妹って・・・やっぱり」
 「そう言う意味じゃないよ!家族だから幸せになってほしいの!」
 「ごめんごめん冗談だよ」
 「もう、なのはったら」
 えへへ、となのはは頭をこつんと叩く。
 「それで彼がはやてのことを好きかって話だったよね」
 「でも・・・あの人言うとしたらもっとストレートに言うんじゃない?」
 「確かに。それにはやてちゃんはああいう人好きそうじゃないと思う」
 「そうだよね」
 「じゃあ誰かな」
 「起動六課は男性いなさそうに見えてそこそこいるしね。誰でもありえるんじゃないかな」
 「でも指輪送るってどういう人なんだろ」
 「そうだよね。結婚するなら直接渡すんじゃない?」
 「うーん」
 引き続き箱を開け続けたが、それらしき人間は特定できず、最終的にはグリフィス、ヴェロッサ両名のプレゼントが出てきてしまった。
 「これで二人の線は消えたね。どうなってるんだろ」
 「グリフィス君のが果物の詰め合わせ」
 「お見舞いみたいだね・・・」
 「ヴェロッサさんのが大きな花束」
 「あの人らしい・・・」
 「じゃああの指輪は?」
 「うーん」
 そのときドアが開いた。
 扉からはスバルとティアナ、ヴィータにはやてが入ってきた。
 「いやぁほんま疲れたわ」
 「大丈夫か?はやて」
 はやての袖をひっぱるヴィータ。
 「お疲れさまです八神部隊長」
 「いやいや、ほんと手伝ってくれて助かったわ。ありがとな」
 スバルが照れながら答える。
 「えへへ。それじゃあ言っちゃなんですが、一緒にわたしのプレゼント食べません?」
 なのはとフェイトはその言葉でピンと来た。
 あのプレゼントはスバルからの物だったのだ。
 「スバルは食いしん坊やなぁ。ええよ〜一緒食べよ」
 「ありがとうございます!えへへ」
 そんなスバルにティアが怒鳴る。
 「ちょっとアンタ部隊長に失礼でしょ!誕生日にプレゼントした物なんだから!」
 「ええんよティア。ありがとな。わたしはスバルのやんちゃなところもティアのしっかり者なとこも好きやで」
 ティアが少し頬を染める。
 「きょ、恐縮です」
 「ありがとうございます。ぶたいちょー」
 ヴィータが話に割って入ってくる。
 「それよりはやて!あたしのプレゼント見てくれた?」
 「ああ。とっても可愛ええぬいぐるみありがとな。これでヴィータとお揃いや」
 「うん!」
 そこではやてがなのは達に向き直る。
 「お。全部開けたん?」
 「多分。でも宛名がなかったのが多かったからよくわかんなかったよ」
 「そうやなぁ。手渡しが多かったからな。そんなに書いとらん人が多いのかもしれへん」
 「それで、これ誰からなのかな?」 
 はやてが指輪を見る。
 「ああ、それか。それはなぁ・・・」 
 そこではやてが自分の椅子を見て目を丸くした。
 「ええ!?シグナムなにしとんの!?」
 「あ、ごめんはやて。シグナムがこの指輪の送り主を斬るって言うから縛っておいたんだけど・・・ごめん」
 はやてはそれを聞くと笑い転げた。
 「あっはっはっは!!シグナムあんたは面白い子やなぁ!そんな心配してくれるなんてほんとシグナムはええ子や。ありがと」
 シグナムの縄を解いてやる。
 「主はやて・・・」
 「わたしには恋人も婚約者もおらへんよ。悲しいことにまだまだ華の独身、独り身街道爆走中や!」
 「そうですか。それは少し安心しました。ではあの指輪は誰が?」
 「あれはなぁ。アイナさんがくれたんよ」
 「ええ!?アイナさんが!?」
 「なんでまた!?」 
 「そうなんですか?」
 一同の驚きを一身に集め困った顔をする。
 「別にそんな変なことやあらへんよ。ただあの人の婚約指輪わたしが結婚するときにくれる言うから。それをちょうどあの人がこのタイミングで送ってきただけやよ」
 「なんだ〜そうだったのか〜」
 「ちょっと待ってくれよはやて。それじゃあもう結婚するのか?」 
 「あはは。ヴィータそんな心配せんでも大丈夫やって。わたしに色恋沙汰は無縁やで。なのはちゃんが少しうらやましいくらいや」
 「何でわたし?」
 「ええ人おるやん。どこかの書庫に」
 「そんなユーノ君は関係ないでしょ」
 「ユーノ君とは言っとらんで」
 「もう!」
 「さあさ。皆でなのはちゃん特製ケーキ食べよやないか。皆で食べた方がおいしいでー」
 「ありがとうございます。部隊長」
 「なにょはのケーキはギガウマだからな」
 「うむ」
 みんなにケーキを切り分けるとロウソクに火を灯す。
 電気を消し静かにする。
 「「「ハーピバースデートゥユー!〜ハーピバースデートゥーユー!ハーピバースデーディアはやて〜!!ハーピバースデートゥユー!!」」」
 はやてはろうそくの火を吐息で消す。
 拍手が部屋の中にわっと起こる。
 そしてクラッカーの音。
 「はやてお誕生日おめでとう」
 「主はやて、おめでとうございます」
 「はやてちゃんおめでとう」
 「部隊長おめでとうございます!」
 「八神部隊長おめでとうございます」
 「はやてーおめでとうー!」
 「みんなありがと」
 そして皆でケーキを食べる。
 するとはやてが開けられていない箱に気づく。
 「それ開けへんの?」
 「はやてはあけた?」
 「うん。プレゼントには全部一応目は通してあるよ」
 「じゃあこれは?」
 「わからん。わすれてしもた」
 その箱は大きく、中に何が入っているのか見当もつかなかった。
 「開けるよ?」 
 「おう」
 箱をおそるおそる開けると中には大きなボンレスハムが入っていた。
 「ハム?」
 「そうやハムやったなぁ」
 「これって送り主誰?」
 「送り主は覚えてるで」
 「誰?」
 「アルフ」
 フェイトとなのははその場でずっこけた。 
 結局のところアルフとスバルは同じものを送っていたのだった。
 そのことをはやてに話すと彼女は笑い転げる。
 「あははははは!!二人とも食いしん坊さんやなぁ。可愛すぎるわぁ」
 スバルが頭をかきながら答える。
 「あはは。まさか同じものを送る人がいるとは思いませんでした。被っちゃってすいません」
 「ええんよ。スバル。誕生日なんてプレゼントも嬉しいけどやっぱり一番はおめでとうって言ってもらうことが何より嬉しいんやで」
 なのはとフェイトがうなずく。
 「だからプレゼントが被ってようとその分笑わせてもらったし。それにあの大きなハム、スバルが手伝ってくれるんやろ?」
 「はい!」
 「なら大丈夫や。ありがとな」
 「えへへ」
 「みんなも今日はありがと」
 一同、はやてに笑顔で返す。



 今日ははやての誕生日。そして彼女が最も幸せに囲まれる日。
辛いこともあったけど今はとても楽しい。過去の悲しい出来事を乗り越える力をはやては手に入れた。彼女はそのおかげで前に進み続ける。
これからもいろいろな出来事が待ち受けているだろう。だけど今この瞬間の出来事を思い出せばいつでもがんばれる気がする。なぜならば、はやてはこんな幸せにいつも囲まれているのだ。

そんな人気者の彼女を心から祝福したい。


お誕生日おめでとう。

作者コメント

 始めまして!!
 ネット上に自分の書いた文章をさらすのは初めてです。
 書くのに時間がかかりすぎて遅くなりましたが、少しでも同じ気持ちではやての誕生日を祝ってあげてもらえると本望です。
 感想どしどしお願いします。
 
 あ、それと自分StSまともに見てないです。A'sまではみてるんですけど。
 なのにこんなん書いちゃいました。すいません・・・。
 間違いや、お気づきの点ございましたら何卒ご指摘よろしくお願いします。
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